2008年08月05日
ガーディナーのモンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り
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この宗教作品はバロック時代の音楽の最大の傑作であるばかりでなく、全ヨーロッパ音楽史を通しても記憶されるべき名曲である。
カトリック教会の「夕べの祈り(晩課、ヴェスプロ)」の中で、特に聖母マリアに捧げられた典礼のための音楽で、いくつもの詩編曲、アンディフォナ(詩編曲への前奏として歌われる聖歌)、賛歌、さらに最後の壮大な『マニフィカト』(キリストを宿したマリアによる神へのたたえ歌。2通りの作曲が用意されている)などから構成された大規模な音楽である。
モンテヴェルディ43歳のおりの1610年に出版され、時のローマの教皇に献呈された。
いくつかの名演奏盤があるなかで、作曲家ゆかりのヴェネツィアの聖マルコ大聖堂で収録されたガーディナー指揮の新録音盤は、特に圧倒的な力をもって迫ってくる。
出だしから残響豊かな広大なスペースを意識した、壮大でモニュメンタルなスタイルで聴き手を押し包む。
手兵モンテヴェルディ合唱団、合奏団を率いて、造形性を適確におさえ、表現意欲あふれたモンテヴェルディを再構築しているのである。
全体にテンポは速めで歯切れがよく、ソロやアンサンブルのパッセージがよく浮かび出てくる。
かなりの長丁場をメリハリ豊かに、変化十分にグイグイと押しきってゆく、その説得力のほどが凄まじい。
ガーディナーの作品に寄せる熱い思いがひしひしと伝わってくる、バロック宗教音楽の最高傑作の優れた演奏だ。
この作曲家の偉大さ、懐の深さを実感させるばかりでなく、これこそバロック音楽と納得させてくれる好演奏である。
なお、DVDもあって、聖マルコ大聖堂の細部や古楽器演奏の有様などを克明に見せてくれる点からも、一見に値する。晩年のモンテヴェルディが楽長を務めた場所でのライヴという点もこのDVDの見どころだ。
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