2008年08月08日
アバドのペルゴレージ:スターバト・マーテル(旧盤)
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「善人は若死にする」と言うが、ペルゴレージのこの曲には、ふてぶてしいまでの強靭な生命力とは無縁の、死を予感し、それを迎える準備ができた夭逝の芸術家特有の諦念が聴きとれる。
また悲哀をおびた美のはかなさも感じとれる。
それが人間の短い掛けがえのない命の尊さを印象づけ、聖母への祈りを真摯なものにしている。
アバドはその美のはかなさを流麗かつ繊細さをきわめたレガートで引き出し、かつ命の尊さを掌のなかで慎重に慈しみ深くはかっている。
アバドは簡素な音構成の中の哀傷というよりも、シンフォニックな弦の響きの中にペルゴレージの現代的変容を見出そうとしているようで、ナポリのオーケストラのような透明な軽さはない。
多分にペルゴレージの音楽の中に顕在する"憂愁"を、ロマン派的心情で描き出してくる。
全体のバランスは精妙この上なく、まるでラファエロの絵画を眺めているような気にさせられる。
M・マーシャルの独唱はやや硬質ながら、美しく敬虔で、全体の調和美のなかに収まっている。
マーシャルの繊細な歌い方に対して、V=テッラーニはスケールの大きい歌い方だが、意外とバランスがとれている。
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