2008年08月16日

カラヤンのマーラー:交響曲第5番


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美しいマーラーである。バーンスタインに代表される感情移入の激しい表現とはまさに対極にある。あるいは"異端"といえるかもしれない。

マーラー特有の野趣味たっぷりのアクや毒が、ここでは美味なるものに変質してしまう。

徹頭徹尾、カラヤンの美学が行き届いた優美と洗練が感じられるマーラー演奏である。

カラヤンの耽美的といえるほど磨かれた響きはマーラーにふさわしい。これほど美しい、ひたすら美しいマーラー演奏も少ないだろう。

しかしきわめて大がかりな劇性の表明は、音響的には効果的であるが内面の充実が伴わない感がないではなく、マーラーの本質である悲劇性が音そのものに覆いかくされたような印象を受ける。

マーラー風というよりカラヤン風といわねばなるまい。

スラヴ風のふんぷんとした第2楽章や、ウィーン風味たっぷりの第3楽章のノドごしの良さ、両端楽章のソツのないスッキリとしたまとめ方など、アカを落として磨き上げるとこうなる、といわんばかりのスタイリッシュな表現。

白眉は第4楽章のアダージェット。大ヒットした『アダージョ・カラヤン』の筆頭曲として銘記されるべき演奏でもある。

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