2008年08月27日
アラウのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集
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定評のあるアラウのベートーヴェンだ。
アラウが円熟の域に達し、ベートーヴェンをはっきりとレパートリーの中心に定めた時期の録音である。
この作曲家の作品はアラウのレパートリーの中核を成すもので、それだけに練りに練った演奏を聴かせる。
アラウのベートーヴェン演奏の特徴は、悠々迫らずという表現の大きさにあり、ここでもアラウは、いわば信念のようなものを鳴り響かす。
そこには小手先の解釈上のアイディアはみじんもなく、それだけに骨太で、ヒューマンな表現に満ちている。
覇気と生気に満ち、テクニックも強靭そのもので、実に完成度の高い音楽を聴くことができる。
解釈も過度のロマンティシズムに陥ることなく、格調ある表現の内に高い精神性をたたえて、いささかも揺らぐことのない世界を開示している。
アラウは数少ない、伝統的なドイツ音楽の継承者だったが、この全集を聴くと彼自身がそのことを強く意識して、全集録音の意義をその点に置いているように感じられる。
そのため演奏は極めて厳格だ。
彼は決して恣意的に振る舞わず、純粋に音楽の構造そのものに発言させようと神経を集中しているのである。
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