2008年09月02日
セルのシューマン:交響曲全集
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セルが好んでいたシューマンだが、この全集は彼の全ての録音の中でもトップに挙げられよう。
実に清潔な、そして楽想を丹念に歌わせたシューマンだ。
セルは解釈家としての非凡な才能を見事に発揮している。そして、いささかの誇張もなく、シューマンの音楽を再構築することに成功している。
テンポの設定のうまさ、各パートの非凡な正確さ、そしていかにもシューマンその人の情感をじかに感じさせる音色の美しさ!
これこそ、クリーヴランド管弦楽団にして初めて可能になった新しい表現の領域といえる。
セルは鍛え上げたクリーヴランド管弦楽団と一切の無駄口をたたくことなく作品の核心へと分け入っているが、結果としての演奏はこぼれるばかりの喜びと美しさに満ちあふれており、シューマン熱い情熱と甘美な夢に浸らせてくれる。
作品の世界を音楽家としての責任と愛情をもって歌い上げた、まさに大家のみに可能な名演であり、何度聴いても新しい。
しかもセルの姿勢には自身を自ら律するような高潔な気品があり、聳え立つ樹木を仰ぎ見るような美しさもたたえていて、この存在感に学ぶべきものは大きい。
作曲者の生誕150周年を飾った名盤である。
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