2008年09月08日
ミケランジェリの芸術
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名ピアニスト多しといえども、イタリアの巨匠アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリほど、天才の名が与えられてしかるべき演奏家も他にはいないであろう。
完璧にコントロールされた技術と高い精神性、そして作品に捧げられる献身的情熱とが結晶となった彼の音の世界は、まさに演奏芸術の頂点を究めた表現活動であり、余人の追随を許さない高みにあった。
キャンセル魔、過敏なまでに神経質な対人関係、録音嫌いなど、彼にまつわるエピソードは尽きることがない。
しかもこうしたうわさ話は、時に一人歩きし虚像をいたずらに大きくしてしまった感すらあるが、ひとたび彼の演奏を耳にすれば、その神秘的なまでの美しさは聴く者すべてを虜にし、紛れもないミケランジェリの音と音楽の世界があることを確信させた。
そしてピアノ演奏の測り知れない奥深い領域へと聴き手を導くとともに、音楽がいかにかけがいのない表現活動であるかを再確認させてくれたのだった。
彼の後継者などあり得ないし、彼に比較し得るピアニストもまたあり得ない。
神秘の音楽家であり、独自の美学に支えられた演奏芸術は彼の死とともに消え去ってしまった。
私たちに許されているのは残された録音で演奏を味わうことのみだが、最初の一音から特別の経験へと誘うミケランジェリの芸術を可能な限り、率直で、純粋な心と耳とで受け止めたいものである。
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