2008年09月10日

クラウディオ・アラウ最晩年の偉大な遺産


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外面的な効果を顧みず、ひたすら作品の内なる精神性を追求し続けたアラウの、最後の到達点ともいうべき演奏だ。

ここではシューベルトやドビュッシーならではの魅力的な旋律も美しく歌われるというよりむしろ朴訥と語られるような感じだし、音の響きもいわゆる綺麗さとは程遠く、武骨ですらある。

音楽の流れも決して流麗なものとはいえない。

しかしその一音一音かみしめていくような音楽の運びのうちに立ち現れてくるのは、まさに作曲者の精神的真髄ともいうべきものだ。

感覚的な美や効果を一切そぎ落として、音楽のエッセンス、作品の深い音楽だけを露わにするような、厳しいまでの孤高の名演である。

アラウがいかに優れた、そして血の通った人間として、ここに収められた作曲家の人と音楽のよき理解者であったかが、フレーズを通して聴き手の心に伝わってくる演奏である。

作品の様式は古典的精神でよく把握されており、いささかの緩みもみせないが、そこに盛り込まれた表現のなんと温かいことか。

響きの柔らかさも特筆に値する。

完全な意味での人格性を担った演奏とは、こうしたものを言うのであろう。

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コメント一覧

1. Posted by アラウ   2008年09月09日 23:57
リパッティのワルツ集を聞いておりましたが、この記事を拝見し、思わずアラウ最後のシューベルト「幻想」を聞きたくなり、今CDをかけながら筆を取っております。
何と幸せな音楽でしょう。私の好きな4楽章4分47秒から始まるフレーズでは、シューベルトの歌が慈しむように紡ぎだされており、アラウの人生、シューベルトの人生に思いを馳せずにはおられません。
バックハウスやミケランジェリ、リヒテルにおいて曲の背景を表現力の強靭さで抉り出す演奏には出会えても、演奏者の生きてきた過去やそれに対する共感を幸福感を伴って与えてくれる演奏家は、アラウ位しかおりません。
ハスキルもそういった感覚を抱かせてくれるのですが、幸福感よりも哀しみが先に立ってしまいます。アラウの音楽が妻に先立たれてから、更に深化するのですが、そこでは悲しみを超えた人生の美しさが達観を持って描かれており、不思議と幸せな気持ちになれるのです。
今度は出来ればアラウ最後の録音集から各曲を取り上げて頂ければ幸甚です。
2. Posted by 和田   2008年09月10日 13:28
私は特にベルガマスク組曲に特別の思い入れがあります。作品の様式感から外れることなく、一音一音じっくりとかみしめていく運びには思わず傾聴させられます。格別なのは「月の光」の中間部で、アラウの演奏には聴き手の気持ちをおおらかに解放し、あとに充足感を残す独特の味わいがあり、これは老境に入った名手のみに許されたものでしょう。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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