2008年10月02日
リヒテルのラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
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"幻のピアニスト"といわれたリヒテルが、西側に鮮烈なデビューを飾る直前の録音(1959年)。
録音こそ多少古くなったが、演奏のスケールの大きなことでは、王者の貫録を誇っているといえよう。
この時すでに彼は同曲を2度録音していたというから、かなりの執着と思い入れがあったことは確かである。
冒頭、ピアノの伴奏音型が細部までクリアに浮かび上がってくるだけでも、これは並のラフマニノフではないことを実感。
リヒテルの音色は暗く重く、いかにもロシアのピアニズムを思わせ、ゆっくりとしたテンポで、悠々と歌わせているのが素晴らしい。
甘美な旋律線も彫りが深く超然としたリリシズムを湛えている一方、クライマックスでは情熱のほとばしりがストレートに伝わる高揚と緊張が漲っている。
エネルギッシュでありながら曲の本質を見事に貫くシビアな感触がこの演奏にはある。
そしてまだ若さも弾力性もあった頃のリヒテルで、その技巧の素晴らしさと鮮やかさは、アシュケナージ以上といえるかも知れない。
音楽の内面を深々と掘り下げているのも魅力で、ことに第2楽章は精妙きわまりない。
山ほどある名演の中でも、襟を正させるラフマニノフを聴かせるのはリヒテル以外にない。
ただヴィスロツキの指揮が、いささか微温的なのが物足りない。
プロコフィエフもピシッと一本芯の通った鋭い表現で、スケールの大きな演奏である。
随所に、ロシア的な情感を表出しているところに、リヒテルらしさを感じさせる。
いずれも共演している指揮者とオーケストラが、もっと著名なものであったなら、という気がしないでもないが、これは聴き手の欲というものだろう。
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コメント一覧
1. Posted by 大津屋三左衛門 2008年10月02日 22:55
文句なしの名盤ですね。CDを愛聴盤にしていましたが、最近、LPも購入しました。これぞ、リヒテル。ダイナミズムがほとばしります。
カップリングのプロコフィエフ・ピアノ協奏曲5番。これがまた、すごい。なんともクール。ドライブ感がたまりません。
カップリングのプロコフィエフ・ピアノ協奏曲5番。これがまた、すごい。なんともクール。ドライブ感がたまりません。
2. Posted by 和田 2008年10月02日 23:03
大津屋三左衛門さん、共感していただきうれしく思います。もっともリヒテルには、ザンデルリンク/レニングラード・フィルとの録音もあり、そちらはさらにリヒテルの感興がほとばりしでた名演を披露しています。現在入手困難なのが残念ですが、一聴をお勧めします。
