2008年10月13日
クレーメル&アーノンクールのモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
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きわめて異質と思われるクレーメルとアーノンクールだが、解釈については意外なほど多くの接点を持っている。
クレーメルが「アーノンクールによって、正統的な解釈の面白さや大切さに開眼させられた」と語っているように、現代楽器によりながら、モーツァルトのユニークな劇的起伏を見事に再現した聴きものである。
一から十までアーノンクール色の強いモーツァルトだが、曲想とマッチしているせいか違和感を与えない。
第1番は、弦の音色が何とも鮮やかでフレッシュ、それにバロック風のホルンが加わり、音楽は驚くほど生き生きとモーツァルトの呼吸を刻み、切れ味鋭く進行する。
第2番の冒頭から、アーノンクールのリズムとアーティキュレーションは、意識してレガートを避け、あらゆる点で明確な表現を意図している。
クレーメルの演奏も、モーツァルトの演奏から純粋な音以外の一切を拒否しようとするかのような厳しい姿勢を見せる。
第3番はさながら新ウィーン楽派のモーツァルトで、クレーメルの神経が透けて見えるようだ。
第4番はさらに見事で、単に面白いだけに終わらず、立派な芸術の高みに達している。
第5番がことのほか素晴らしい。これほど抽象的な演奏も珍しいが、そのままの形でモーツァルトを伝えてくれる。
協奏交響曲はアーノンクールが主導権を握り、2人のソリストもチームの一員として組み入れられ、そのまとまりも見事だし、モーツァルトの魅力のすべてが示されている。
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