2008年10月25日
ホロヴィッツ・オン・テレビジョン
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1968年にカーネギー・ホールでテレビ放送を目的として行われた公開のリサイタルでの収録。
演奏活動に復帰してから3年、まだホロヴィッツが衰えをみせない時期の演奏である。
ここではホロヴィッツのテクニックはまだ衰えを見せておらず、しかも音楽表現については、いわゆるヴィルトゥオーゾ・スタイルから晩年の深く美の世界に沈潜する様式へと移り変わる過渡期にあり、そうした表現が技巧と一体となって極めて雄弁な演奏を作り上げている。
なかでも、磨き抜かれたバラード第1番、寒風が吹き荒ぶようなポロネーズ第5番など、それぞれの作品を語るうえで忘れることの出来ないもの。
得意とした2つのスカルラッティのソナタも聴きもの。
だが、注意深く聴くと冒頭のバラード第1番や夜想曲第15番、ポロネーズ第5番などで以前より強弱と緩急の対比が強調され、テンポの遅い静かな楽想をことさら入念に表出しようとしている印象を受ける。
耽美的な傾向をいっそう強める晩年のスタイルがみえはじめている。
そして、最後を自らの編曲したアンコール・ピースで閉じるという心憎い配慮がなされている。
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