2008年11月14日
アシュケナージのシューマン:ピアノ名曲集
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アシュケナージの作品に寄せる心の優しさが滲み出ている演奏だ。
これらの作品からアシュケナージがひき出すロマンティシズムは、実にしっとりとした手ざわりを持っており、また無垢の新しさを示している。
アシュケナージの、知情意のバランスのとれた演奏は、隙のない美しさを印象づけると同時に、爽やかな後味を残す。
「子供の情景」では譜面に忠実で、心がこもっており、作品を構成する1曲1曲が、きめ細かく構築されている。
そして、表情は変化に富んでいるが、過度に飾らずに、この作品の本質にみあった、清らかで爽やかな表現が、演奏者の意図として伝わってくる。
「アラベスク」はピアニストの人間的な温もりとしっとりとした詩情に湛えられた秀演で、所々、揺り籠のようにリズムを揺らす。
表現の幅を広く大きくとり、ロマンティシズムにあふれた演奏を聴かせている。
音色は相変わらず美しく、清潔感が漂っているが、その調和を保つことから一歩はみ出して、自身の感じたままに思いきりよく表現する姿勢も、ここにはみえている。
シューマンのたゆとうようなロマンティシズムを詩情豊かに、しかも円熟した味わいを伴って表した演奏といえよう。
その他の曲でも表面的なアプローチではなく、シューマンの作品の中に深く沈潜し、そこからあたかも時が満ちて花が開くように立ち現れる表現は、この上ない喜びを与えてくれる。
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