2008年11月16日
クイケンのバッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ
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バッハの「ブランデンブルグ協奏曲」のような曲が、現代の18世紀の演奏スタイルや譜面の研究の急速な進歩に伴い、日進月歩の勢いで、その音楽の新しい本質の発見に迫りつつあるのに比べれば、バッハのヴァイオリンのソロのレコードは、全く遅れていた。
これはある面では進んでいるレコード・プロデューサーたちの意識が、この面に関しては立ち遅れていたことを示している。
そんな中、バロック・ヴァイオリンによるS・クイケンの全集がますます光りを放つことになる。
バロック・ヴァイオリンによる演奏は、当然今日の楽器とは響きも異なり、奏法も異なる。
ガット弦をバロック・ボウで弾いたときの発音の鋭敏さと、響きの軽くのびやかな抜けが、曲のごく細部までの設計と陰影を明らかにしている。
それでいて演奏には少しも説明的なところや、いかにも「至高の芸術との取り組み」といった尊大さが皆無なのが何より好ましい。
その演奏は、このよく知られた作品を別の面から見たような印象を与える。
安定感でもう一歩という個所もないではないが、この強張りのないバッハには強く魅せられる。
最初は物足りなさを感じるかもしれないが、クイケンの演奏は実はそう感じることがおかしいことを説得させる。
ここでは違う美学が力強く主張されているのだ。文字通り耳洗われる演奏である。
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