2008年11月17日
シュタルケルのコダーイ
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コダーイの無伴奏チェロ・ソナタは、ハンガリーのチェロの名手で、ワルトバウアー弦楽四重奏団のイエノ・ケルペーイ(1885-1954)のために書かれた作品だが、このシュタルケルの演奏と録音によって一躍広く知られるようになった。
無伴奏のチェロ作品といえばする誰の頭にも浮かぶのは、バッハの6曲の組曲である。
バッハの作が、本来は多くの声部を要する対位法の音楽を重音を極めて節約して用いる中で実現していることはよく知られている。
それに対しコダーイのこのソナタは、チェロに重音奏法による和音を徹底して求めている点で、バッハの組曲よりも相当に複雑で演奏も困難な作品である。
トランシルヴァニア地方の農民の民俗音楽のイディオムや、その原始的な音色そしてヴァイタリティを、独自のチェロ書法を通じて新たな音楽に生まれ変わらせた傑作である。
作曲者と故郷を同じくするシュタルケルは、この複雑で困難な書法をよく消化して、作品の底に力強く息づく肯定的なヴァイタリティをよく伝えてくれる。
彼はこれまで3度このソナタを録音しているが、この2度目のものは48年度のディスク大賞を受けている。
「松脂が飛び散るような」とか「楽器の胴の中にマイクを仕込んだように鮮明」と評された録音そのものは、今ではそれほど強い感銘は与えないが、演奏のひたむきだが強い主張は将来とも色褪せることはないだろう。
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