2008年11月24日
カッチェンのブラームス/ピアノ曲全集
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1969年に42歳という若さで急逝したカッチェンが、ブラームス生誕150周年を記念して録音した完璧な全集。
カッチェンは録音当時30代後半だが、この年齢でブラームスの全集を完成してしまったという所に彼の特異性と、若くしての円熟ぶりを見ることができる。
その彼が録音した同全集は、カッチェンの作品に対する真摯な態度とその奥に瑞々しい詩的な感興を行き渡らせた演奏によって、今日もなお、ブラームスのピアノ曲における一つの指針としての価値を持つ。
カッチェンのブラームスの特質は、表現に聴かれる音楽的な思索性の深さである。
これが小品集を実に味わい深いものにしているし、「ハンガリー舞曲集」のような作品も単なるエンターテインメントに終わらさないのだ。
そして何よりも指摘しなければならないのは、どの音にもピアニストの音楽に対する感動が生き生きと投影されていることだ。
それは、ある時にはブラームスの若々しい叙情性を引き立てているし、また時には老作曲家のささやかな旋律にしっとりとした詩情を与えている。
今、技術的にはこの上をゆくピアニストはいくらでもいるが、こんな演奏を聴かせてくれる人はそうざらにはいない。
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コメント一覧
1. Posted by yoshimi 2008年12月28日 00:09
はじめまして。
>どの音にもピアニストの音楽に対する感動が生き生きと投影されていることだ。
本当にそうですね。カッチェンが弾くブラームスを聴いていると、自分の心を紡いでいるかのようにいろいろな感情が自然に伝わってきます。
グールドとミケランジェリの「4つのバラード」を聴いて、これはブラームスの音楽とは何か違うだろうとしか思えず(評判はなぜか良いのですけど)、カッチェンのピアノで聴くと、これこそまさしくブラームスが思い描いていた音楽だと理解できました。
カッチェンが弾いている他の曲も好きなんですが、彼が弾くブラームスは、聴けば聴くほどますます好きになってしまいます。
>どの音にもピアニストの音楽に対する感動が生き生きと投影されていることだ。
本当にそうですね。カッチェンが弾くブラームスを聴いていると、自分の心を紡いでいるかのようにいろいろな感情が自然に伝わってきます。
グールドとミケランジェリの「4つのバラード」を聴いて、これはブラームスの音楽とは何か違うだろうとしか思えず(評判はなぜか良いのですけど)、カッチェンのピアノで聴くと、これこそまさしくブラームスが思い描いていた音楽だと理解できました。
カッチェンが弾いている他の曲も好きなんですが、彼が弾くブラームスは、聴けば聴くほどますます好きになってしまいます。
2. Posted by 和田 2008年12月28日 00:19
yoshimiさんの誠実さが伝わるコメントありがとうございます。
グールドとミケランジェリはブラームスを聴くというよりピアニストの個性を聴くものだと感じます。あとアファナシエフも。
私は一時期ブラームスの晩年のピアノ曲にハマりこんでしまって、それこそルプーやケンプやバックハウス、レーゼルなどいろいろ聴いたのですが、仰せのようにカッチェンが一番自然です。
グールドとミケランジェリはブラームスを聴くというよりピアニストの個性を聴くものだと感じます。あとアファナシエフも。
私は一時期ブラームスの晩年のピアノ曲にハマりこんでしまって、それこそルプーやケンプやバックハウス、レーゼルなどいろいろ聴いたのですが、仰せのようにカッチェンが一番自然です。