2008年11月28日
ベームのワーグナー:ニーベルングの指環
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
1966年と67年のバイロイト祝祭劇場でのライヴ録音で、戦後バイロイトのひとつの頂点を刻む記録。
ベームのワーグナー録音は少ないが、残された「オランダ人」「トリスタン」「指環」は、ともに新生バイロイトのひとつの頂点を究める時期のものであり、なかでも「指環」は肥大したロマン主義的演奏の伝統をいったん殺ぎ落とし、ダイエットした新しいワーグナー像を提示した、その意味では歴史的偉業であった。
ナチ時代の残滓もそれによってかなり洗い流されたので、ワーグナーが国際的なレパートリーになってゆくプロセス上でも画期的な演奏であり、その素晴らしい記録であったと思う。
ベームの厳しい彫塑的、凝集的な表現が、歌手陣の信じがたい充実と相まって大きな感動を与える。
ベームの作り出す音楽は、一分の隙もなく、がっしりと構築されたもので、強い緊張感に包まれている。
ベームの演奏は随分とテンポが速い。そしてそれは凄まじいばかりの白熱と緊張に満ちている。
ベームのこの作品への共感がひしひしと伝わってくるような感動的な名演である。
キャストも、戦後の第一級のワーグナー歌手たちが勢ぞろいしたもので、見事だ。
また、4部作を通じて、ひとりの歌手がひとつの役を演じているが大きな特色となっている。
演奏の充実度と完成度に関する限り、このベーム盤を超えるものがなかったことを改めて確認せざるをえない。
録音も、ライヴの熱気を生々しく伝えたすぐれたものだ。
今日、バイロイトのオーケストラはもっとしなやかな音を好むだろうし、歌手たちの声への趣味も変わったが、ベーム盤の「指環」への価値はいささかも損なわれまい。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。