2008年11月30日
ニコラーエワのショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ
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ニコラーエワの同曲集3回目の録音で、決定盤といってよい名盤。
20世紀に生まれた重要なピアノ曲の正統的な名演として、長く声価を失わないアルバムだ。
この作品はショスタコーヴィチがニコラーエワのために作曲し、彼女が初演したものだけに、作品の解釈と演奏の歴史はまさに彼女に始まっている。
初演時、20代半ばだったニコラーエワも、この録音時はすでに70歳間近、円熟の極みに達しており、作曲者が彼女に相談しつつ書いた曲だけに、まるで自分自身の音楽のように弾いている。
前2回の録音も規範性を持つ優れたものだったが、この演奏でのニコラーエワは作品を完全に手中に収め、自在さを獲得しているため表現の幅が大きく広がり、1曲1曲の性格もニュアンス豊かに精気を帯びて際立つ。
曲はバッハのそれにならって、書法と内容は実に多様だが、彼女はそれらを明確に弾き分け、この作品がもつ古典性、抒情性の両面を鮮やかに描き出している。
いわゆる絶対音楽だが、ときに輝かしい喜びや深いロシア的憂愁を帯びた表情をみせた、女性らしい細やかな神経に満ちた演奏である。
ニコラーエワは62年の初録音では新鮮な演奏を繰り広げていて魅力的だったが、90年の演奏ではさらに深い味わいがある。
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