2008年11月05日
ニコラーエワ/プレイズ・バッハ
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このアルバムで実に印象的なのは、ニコラーエワ編曲の「トッカータとフーガ ニ短調」だ。
ロマンティックな壮大さがトレード・マークのような、このポピュラーな作品がなんと軽やかに響くことか。
特にトッカータでその感は強い。
ニコラーエワの編曲は見事にピアニスティックだ。
続く作品群もすべてニコラーエワ流の、彼女が感じるままのバッハで、実に女性らしいナイーヴな情感が常に流れている。
ニコラーエワの弾くバッハで感心するのは、ポリフォニックに書かれている曲や、構成のうまさである。
諸声部を解析的に演奏し、全体に流暢なニュアンスをあたえて息づかせる能力と、各曲の性格と楽想に応じて浮き彫りにする点はまったく見事である。
独立した各声部のすべてが、なんの苦もなく鮮明に弾き出される。
あまりに見事なため、分析的な演奏ともいわれるが、決して冷たい印象を与えない。
むしろ感情移入が激しく、ロマン的にバッハを再現する。
テンポ設定、レガートやスタッカートの使い分け、音質の硬軟など、いわば彼女の日常の語り口でおこない、表現のすみずみに多彩な豊かさを感じさせる。
伝統的なバッハ演奏を望む人にはこうした点が不必要と思うかもしれないが、内面を深く描く演奏は一聴に価する。
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