2008年11月30日
アバドのヴェルディ:オペラ合唱曲集
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オペラのなかの合唱は、ヴェルディが登場するまで単に歌手たちの聴かせどころの歌と歌とをつなぐものでしかなかったが、ヴェルディは、それを力強く豊かな感情表現をもつものにまで高め、「アイーダ」や「椿姫」「ナブッコ」などでは、その合唱が実によく生かされている。
これはアバドがミラノ・スカラ座の音楽監督であった時代の録音で、初期の「ナブッコ」から最晩年の「オテロ」に至るまでの、ヴェルディの主要なオペラの有名な合唱曲が収録されている。
聴いていると、胸がスカッとしてくるディスクである。
これらの演奏は、アバドのスカラ座時代10数年の輝かしい成果といえるもので、力強く色彩的な表現、どの曲も、イタリア的な明るさと熱気にあふれていて、大変素晴らしい。
端正な造形力、アンサンブルの精緻な美しさ、適度の熱気と抑制が共存するアバド芸術の典型といえるものがここにある。
彼はヴェルディの音楽自体が内包する激しく熱い情熱に対して、あえて必要以上に胸襟を開こうとしない。
そのため演奏は一分の隙もない見事なものだが、この演奏とヴェルディの本質との間にはある種の溝を感じてしまう。
とはいえアバドのヴェルディ演奏の美質とエッセンスが、ここに集約されているといっても過言ではない。
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