2008年12月01日
ブレンデルのベートーヴェン:後期ピアノ・ソナタ集
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ブレンデルは、納得のゆくまで作品を研究した上で、その曲を自分のレパートリーにする人だが、シューベルトとともに、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの分析にもすぐれている。
これは、そうした彼の徹底した研究が実を結んだもので、スタイルとしては、シューベルト的なソフトな性格をもっており、きわめて抒情的でロマンティックである。
ことに弱音の部分に魅力があり、響きの美しさとニュアンスのこまやかさはこの人ならではのものだ。
どのソナタの演奏も秀逸だが、特に第32番がきわめて美しく仕上がった演奏である。
ひとつひとつの音色は珠玉のように澄んでおり、バックハウスのような剛直さとは対照的に、表情の柔らかいのが特徴だ。
力強くはじまる第1楽章では、響きのこまやかなニュアンスを大切にしながら、この曲の複雑な音の流れを見事に洗い出している。
抒情的な第2主題の音色は、ブレンデルならではの艶があり、1音1音が生きている。
第2楽章は抒情的な表現のうまい彼の美点が、よくあらわれており、静的な旋律を豊かに歌わせながら、格調の高い演奏をおこなっている。
ピアノ演奏法の研究者として名高いブレンデルの実力が、十全に発揮された演奏だ。
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