2008年12月04日
バレンボイムのモーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
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バレンボイムのモーツァルトというと、20代のころに録音した、ピアノ協奏曲の全曲録音が有名だが、それ以降、久々に録音したのが、1984年から85年にかけておこなわれたピアノ・ソナタ全集である。
指揮者としても伴奏者としても、幅広い音楽ジャンルに挑んでいるだけあって、このピアノ・ソナタ全集では、そうしたさまざまなものを吸収した彼の豊かな表現力が、プラスにはたらいている。
バレンボイムは、ベートーヴェンやブラームスのピアノ曲も得意としており、音楽の内面に光をあて、じっくりと聴かせることに秀でたピアニストだ。
ここでは、そうした彼の魅力がよく生かされていて、みずみずしく直截に表現しており、構成的な美しさをひき出していて素晴らしい。
バレンボイムは現在指揮者として活躍しているが、その学習と実践がこのアルバムでは大きな実りとして生かされている。
これは以前のバレンボイムを知る者には大きな驚きである。
とにかく、ここでのバレンボイムは楽譜の読みが実に深い。しかも自在感に満ち、音楽の自然な流れを少しも失っていない。
清潔感をただよわせた端正なモーツァルトになっているのはさすがで、清澄な響きと爽快なリズム感が実に快い。
しかも、それが自然になされているところに、バレンボイムの円熟をみてとることができる。
さらに安易な新ロマン主義的演奏とは、はっきり一線を画している。
バレンボイムはじっくりと、ゆとりをもってモーツァルトにアプローチし、いっさい余分なものを付け加えずにエッセンスを取り出してみせる。
しかも彼のピアノの音はすみずみまで美しく大げさに響かすことがないから、立ち現れてくる音楽にも透明感がただよっている。
いっさいの邪心を捨てた、まさしく古典美溢れるモーツァルトだ。
スマートでクール、だから聴き飽きないモーツァルト演奏であるといえる。
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