2008年12月05日
ラローチャのモーツァルト:ピアノ名曲集
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ラローチャは録音時では60代後半になっていたが、年齢はここでは円熟と叡智の深化のためにしか存在しないかのようだ。
ラローチャは年輪を思わせる潤いのある落ち着いた演奏で、常に微笑みと優しさがあり、大きな包容力で聴き手を幸福感で包み込む。
彼女のモーツァルトは必要な清潔さ、虚飾のなさと同時に、言い知れぬリズムの良さと心和む優しさを帯びている。
ラローチャは、非常に自然で衒いのない姿勢でモーツァルトに取り組んでいる。
しかし、彼女のそうしたあり方は、これらの聴き慣れた名作からかえってとても豊かなアピールを引き出すことになった。
自然体でありながらも少しも無愛想にはならず、歌う喜びとゆかしい色香を片時も忘れない。
ラローチャの自然な語り口は、自然であるが故にそこにふくよかでみずみずしい表情を息づかせており、さらに生き生きとした感情の起伏や生命の宿った音楽の流れを生みだすこととなっている。
ラローチャの音色には豊かな張りがあり、誇張のない端麗さの中に気概をたたえた演奏は、端正だが常に微妙なニュアンスをそなえ、刻々と移ろうモーツァルトの感興にぴったりと寄り添ってゆく。
ここに居れば安心ですよ、といった感のある確固としたテンポ。限りないモーツァルトへの慈しみが伝わってくる。
これほど飾らず、しかも滋味豊かなモーツァルトは滅多にあるものではない。ラローチャのモーツァルトの真価を伝える名演の一つといってよいだろう。
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