2008年11月30日
ブレンデルの「ハンマークラヴィーア」一期一会のライヴ
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アルフレート・ブレンデルは1992年10月から1995年11月までの足かけ3年にわたって、ウィーンでの3回目のベートーヴェン・チクルスをムジークフェラインのホールで行なった。
全部で7回の演奏会で全32曲のソナタ演奏を終了したが、それらの演奏会は、そのつどNHK-FM放送ですべて放送された。
ブレンデルは、その後1,2か月の間に、各演奏会で開いた同じソナタをスタジオでCDに録音して、彼としては3回目の『ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ全集』を完成させている。
前回の1970年代に行なった全集から、ほぼ20年が経っている。
しかし、そうした中にあって、実はこの第29番「ハンマークラヴィーア」の演奏は、新たにスタジオで録音されたものではなく、1995年2月3日に行なわれた演奏会のライヴ録音なのである。
そして、ブレンデルがこの曲の演奏だけ、何故にライヴ録音を使ったのかは、この演奏自体がまさにそれを証明しているといえる。
この曲自体、演奏者に極度の精神の集中力を要求しているように思うのだが、この時のブレンデルは、確かに気迫のこもった見事な集中力を示しており、まさに音楽に乗り切った演奏を聴かせていた。
このソナタは、曲自体のスケールの大きさを実感させてくれる演奏でなくては話にならない。
それに加え、長大な緩徐楽章がたたえている音楽的な深さと重みの表出が不可欠。
ブレンデルは、その第3楽章で真に円熟した内省的な演奏を繰り広げている。
だから、改めてスタジオで録音してもこれ以上の演奏はできないと思ったのだろう。そうした意味でも、一聴に値する名演奏であると思う。
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