2008年12月05日
アラウのドビュッシー
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例によって、アラウはドビュッシーにおいても悠然とした演奏を繰り広げる。
前奏曲第1巻の第1曲目の冒頭から独特の雰囲気に引き込む。
テンポを抑え気味にとった響きは柔らかく、しっとりとした翳りをおびている。
こうした響きは全曲を通じて一貫しており、味わいのあるドビュッシーが聴ける。
映像第1集は、"ラモーを讃えて"などを聴くと、かなり重厚さを感じるが、それはアラウでしか聴けない表現で、はっきりした説得力を持ちえている。
前奏曲第2巻でのアラウの演奏は、より味わい深いものとなっている。
そこには、ドイツ・ロマン派の音楽、特にシューマンあたりで身につけた内面的な表現の力が大きく作用していることを強く感じる。
映像第2集は、この曲の従来の演奏解釈の常識をまったく無視するようでありながら、実に深い味わいがあり、ドビュッシーの音楽における余韻の新しい在り方を教えられる。
これほどこせついたところのない、おおらかな味わいのある演奏は珍しい。
こうしたドビュッシーに安らぎを覚える人もあれば、まだるっこさを感ずる人もいるだろう。
だが、表現の鋭角的な洗練を求めさえしなければ、大家アラウの持つ独特の風格は何といっても注目の的だ。
風雪に耐えてきた芸とはこういうものではないだろうか。
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