2008年12月06日
ハイフェッツのバッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ
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51歳の時の録音で、ハイフェッツ唯一の「無伴奏」全曲盤だ。
ハイフェッツのバッハに対する畏敬の念が演奏に反映されている。
絶頂期のハイフェッツによるこのバッハの名作は、ヴァイオリン演奏としてのあらゆる見地から見て、それを凌ぐものがないといってはばからない名演となっている。
彼の卓越した技巧は、バッハが用いた疑似対位法を明確に浮かび上がらせているし、何よりも余裕のある演奏が音楽の構成感と豊かな情感を高い次元で融合させている。
音色の美しさも抜群。
しかし、それ以上に注目されなければならないのは、恐ろしいほどの執念を燃やしてこの作品を表現しようとするハイフェッツの姿勢である。
速めのテンポを好む傾向があるハイフェッツは、彼としては珍しい余裕のあるテンポでこの作品を演奏しているが、そうした明らかに遅めのテンポの設定は、そこに驚くほどの熱っぽい情熱や濃厚な情念をたぎらせた表現を実現させる結果を生んでいる。
それは、この巨匠の芸術家としての使命感や責任感をも強く感じさせずにはおかない。
ここでは、ハイフェッツの超絶的といえるテクニックの冴えが、まず聴き手の度肝を抜くが、それは、あくまでも表面上の問題であり、この演奏の意味と価値は、そのようなこととはまったく別の次元に存在しているのである。
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