2008年12月11日

ブリュッヘンのモーツァルト:交響曲第40番,第41番「ジュピター」


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



第40番はブリュッヘン/18世紀オーケストラの輝かしいCDデビュー盤となったものだが、手に触れると切れてしまうような緊張感をたたえた演奏が初々しく、また美しい。

その美しさは、1音1音を慈しむかのような愛情と責任感とで再現した演奏にかける真実性を背景とするものであり、作品をこれほどまでの切実さで描き出した例はないといってよいだろう。

各楽章、いずれもきめこまやかな演奏であり、気持ちがひとつになった第2楽章の深い息づかい、メヌエット楽章の起伏豊かな表現力に舌を巻くが、終楽章のアレグロ・アッサイへの次第に大きな山を築いていくブリュッヘンの手腕も見事で、聴き手を音のドラマに自然に引き込む吸引力が素晴らしい。

「ジュピター」は、モーツァルトが交響曲のジャンルで到達した最後の傑作を、空前の躍動感とスケール感で描き出した名演であり、ブリュッヘン/18世紀オーケストラの数あるレコーディングの中でも傑出している。

まず演奏に注がれる意気込みが異例であり、第1楽章冒頭から熱く沸騰した音楽が奔流のように流れ出して、その激しさはトスカニーニの演奏かと思わせるほどである。

大胆といいたくなる表現の振幅の大きさ、ロマン的感情表現の豊かさも特筆され、作品ばかりかモーツァルトに対する認識も改めさせる名演といっても決して過言ではないだろう。

波打つカンタービレも優しさ以上に逞しさを感じさせるし、鋼のカンタービレを歌う弦楽セクション、英雄的表情を添える管楽器、作品を鋭く引き締めるティンパニの強打にも説得力がある。

しかも、それでいて透明度の高いアンサンブルは常に柔軟で、ふくよかであり、まさに「ジュピター」の名にふさわしい。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 21:11コメント(4)トラックバック(0)モーツァルト | ブリュッヘン 

トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by Kasshini   2015年02月02日 16:37
ブリュッヘンは、昨年亡くなりましたが、21世紀入ってからのクラリネット協奏曲と3大交響曲は素晴らしかったですね。
交響曲第41番フィナーレでは、ヴァルターを彷彿とするようなユピテル音型がホルンで浮き上がったりクーベリックも真っ青の提示部繰り返しにおける絶妙なニュアンスに変化。室内楽団らしい緻密なアンサンブル、古楽器らしい古雅さを湛えつつもオルガントーンすら聴こえるオケの音色、フルオケのようなスケール感と力強さ、優美さ、今や私のベスト盤と化していますが、当該演奏をお聴きであれば、感想をお聞かせ下さい。
2. Posted by 和田   2015年02月02日 21:04
ブリュッヘンの「ジュピター」を聴いて、私はびっくりしました。
第1楽章の遅いテンポ、念を押すように深く厳しいリズム、強い意志による迫力、そしてフィナーレの情熱の凄まじさ、いずれも常識的で優雅なモーツァルト像を超えており、まるでロマン派のような内容主義の演奏になっていますが、それでいて造型力は驚くほど堅固で微動だにしません。
プロ的な、変に慣れたところのない指揮ぶりも良い意味でアマチュア的であり、それが楽員にも伝わって全員命を賭けたような熱演を示していて、胸を打たれました。
(追記)ブリュッヘンの「ジュピター」を久々に聴き直しましたが、フィナーレが抜群ですね。
フーガの各旋律が対位法の織物の中でくっきりと浮かび上がり、通常反復されない後半もこのように反復で激しさを増すと効果抜群。特に展開部のストレッタの連続は凄い切れ味であり、ティンパニも迫力満点。最高の名演のひとつでしょう。
3. Posted by Kasshini   2015年02月03日 13:06
去年リリースされた演奏と同じ頃の演奏がyoutubeにありましたので、リンクを貼りますね。
https://www.youtube.com/watch?v=iILjCal8fs8
去年リリースしたアーノンクールは、40番と41番の間で休憩を挟んで3大交響曲は演奏されるべきと主張していますが、こういう演奏を聴くとsの意味がわかる気がします。歌のないオペラとも述べていますが、オーボエ、クラリネット、ホルンがソロを担う場面もあり、39番の冒頭は魔笛序曲の先駆とも取れて、40・41番の見事な長調短調の交替は、ドン・ジョバンニを洗練させたものともいえますね。そしてこの3曲すべてに、ユピテル音型が秘められていて、アーノンクールの主張に納得です。同期の豊かさは、マーラーに比肩。ユピテルは、去年苦しかった時に、励まされた曲でもあり、アポロとパトスの激突が、フィナーレの聴きどころの一つだと思っています。
4. Posted by 和田   2015年02月03日 15:27
そういえば、私も苦しかった頃に友人が「その日暮らしの享楽的な生き方をして《ジュピター》を知らない人は不幸だよ」と言って励まされたことがあります。
ところで最近、ヨーロッパの各地で耳にするアーノンクールの評判には眼を見張らざるを得ません。
1970年代の半ば、古楽器を使って鮮烈な、というより極めて刺戟的な音楽造りを披露し(代表作がヴィヴァルディの《四季》)、楽界の話題を攫いましたが、いまにして思えば彼は古い楽器を武器に新しい音楽=現代の演奏の開拓を試みていたのだと思います。
聴き手の姿勢がこの四半世紀の間に変わったこともあるでしょうが、彼の表面からは次第に棘の部分が消え、それとともに一流オーケストラが競って彼を指揮台に迎えるようになりました。
「息を呑む瞬間が最も多い指揮者」という讃辞も聞かれるところです。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ