2008年12月13日
グールドのワーグナー
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グールド自身の編曲によるピアノ版のワーグナー・アルバム。3曲とも唯一の録音。
ピアニストとしてのグールドが、その主張を強めていったひとつの極を示したのがリスト編曲のベートーヴェン「運命」であったが、彼はその線を越えて自らワーグナーの管弦楽曲を編曲・演奏するに至った。
ここではオーケストラの演奏をそのままピアノで代用して聴かせるのではなく、これがひとつの表現になりきっている。
色々な意味で興味深い演奏だ。
なかでも興味深いのは「ジークフリート牧歌」で、グールドは、この曲が誕生日の贈り物であるといった曲の背景から最も遠いところで、楽曲をばらばらにし、曲の構造に起因する力学によってテンポを決定して演奏をしている。
グールドが指揮者としてどのような方向を目指していたか、話題を呼び起こしそうな録音だ。
小編成のアンサンブルであるとはいえ、すべての声部を明確に引き出してゆくこの演奏は、彼の音楽的な志向がそのまま反映したものといえるが、演奏時間が約24分半というのは驚異的だ。
それでも音楽的な弛緩をほとんど感じさせないのは興味深い。
グールドは、彼がピアノで示したのと全く同じような独自な解釈を呈示し、衝撃を与える。
一聴に値する演奏である。
余談だが、グールドの「マイスタージンガー前奏曲」を結婚式の披露宴で新郎新婦入場の時にかけると大変素晴らしい。実証済み。御参考までに。
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