2008年12月14日
リヒテルのグリーグ/シューマン:ピアノ協奏曲
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リヒテルとマタチッチの唯一の共演盤。
このグリーグは傑作だ。例によってリヒテルが、スケールの大きい音楽世界を繰り広げている。
リヒテルの演奏は、思考の積み重ねの末に再構築されたロマンと言っていいだろう。
ネオ・ロマンティシズムの表現の、ひとつの解答がこの演奏だ。
しばしば拡大されたディティールが前面にせりだしてきて、「おやっ」と思わせる。
知の力が優った演奏だが無感情ではなく、気分の沈潜の有り様について考えさせる不思議な個性にあふれた演奏だ。
遅いテンポと粘ったリズムによる第1楽章は著しくロマンティックで、それに凄まじい気迫と強靭なタッチが加わって表現の幅が増している。
カデンツァの豪壮な再現、聴き手を圧倒しないではおかない凄まじい気迫は、このピアニストならではのものだ。
その一方で、グリーグ特有の憂愁美に彩られた諸主題を、やや遅めに設定されたテンポで、あくまでも優美にしっとりと歌い上げて見せる。
第2楽章はくっきりとしたタッチが美しく、フィナーレは第1楽章とほぼ同様。
剛から柔に至るその幅の広さは、他のピアニストたちに比べると抜きん出ており、それがリヒテルのこの演奏を、「さすが巨匠芸」と認識させるばかりか、作品そのものを巨匠風に感じさせる要因になっている。
マタチッチの指揮も両端楽章の豪快さ、雄大さはその比を見ず、旋律は豊かに歌われ実にふっきれた表現だ。
しかしシューマンは今ひとつ共感できない。
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