2008年12月22日
ブレンデルのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集(第1回目)
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ブレンデル最初のベートーヴェン全集であるが、早くも彼のきわめて知的なベートーヴェン解釈が、はっきり表面に打ち出されている。
彼は余分なものを一切付け加えず、あくまで作品そのものに語らせようとする。そのための知と情のコントロールも見事だ。
その結果聴かれるのは、端正でバランスに優れ、しかも深い楽譜の読みと端正なテクニックの行使に支えられた説得力あふれる演奏である。
その後2度の全集に入っている演奏と比べても、ブレンデルの本質は少しも変わっていない。
眼前の楽譜を論理的・分析的に読みとり、それに基づいてベートーヴェンを論理的に構築しようという確信が、彼を支えている。
どの曲の演奏も音楽の呼吸が自然で表情に温もりがあり、しかも明晰である。
演奏全体は穏健であり、誰でも抵抗なく受け入れられる伝統的なベートーヴェン解釈である。
ブレンデルの狙いは、徹底した作品分析をもとに、明快で論理的な演奏を構築し、しかも乾いた演奏との印象を与えないように、ひびきの細やかなニュアンスに留意し、旋律的にも和声的にも、潤いのある抒情的な表現を志向している。
剛ではなく、柔のベートーヴェンが、ブレンデルの描こうとした世界である。
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