2008年12月28日
アバドのノーノ:中断された歌
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多くの地域を巻き込んだ20世紀のふたつの世界大戦の悲惨さを後の世に伝えることは、20世紀に生きた者たちの使命かもしれないと考えながら音楽史を見渡すと、切っ先を向けるように目に飛び込んでくるのが、このノーノの作品である。
第二次大戦中のレジスタンス戦士十人が、処刑される直前に残した手紙をテクストとするこの曲は、ファシズムへの飽くなき弾劾を続けたノーノの代表作であるばかりでなく、1920年代にシェーンベルクによって始められた12音技法を継承する形で生じた、戦後のセリー手法の代表作でもあり、その意味では20世紀の発展的音楽史上のメルクマール的な存在であると同時に、戦後世代が作った数々の前衛作品のなかでも、最も強い感銘を誘う作品である。
1956年の完成であるにもかかわらず、重い内容が災いしてか、あるいはイタリア共産党員であったノーノの立場が微妙に作用してか、はたまた演奏の難しさが高いハードルになってか、なかなか録音に恵まれなかった(上演頻度も極めて低い)。
CDでは伊Stradivariusのマデルナ盤が辛うじて作品の姿を伝える程度であったが、これまで何度か実演で採り上げていたアバドが、ベルリン・フィルの常任になってから実況録音した盤は、唯一の正式録音であると同時に、これ以上はなかなか望めぬほどの精緻な演奏になっている。
これをもって後の世に伝える20世紀後半の作品とその録音の代表とすることに、異論はなかろう。
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