2008年12月30日
ヘフリガー&デーラーのシューベルト「美しき水車小屋の娘」「冬の旅」「白鳥の歌」
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「冬の旅」は1981年度のモントルー国際レコード大賞を受賞した名盤で、ヘフリガー61歳のときの録音である。
一時期、演奏活動から遠ざかっていたが、これはカムバックしてからの録音である。
何という若々しい衰えのない声、崩れのいささかもない歌だろう。
そのしなやかでみずみずしい声は、やや表情にかたさのあった昔にくらべ、より魅力的で、人生の年輪を重ねた人ならではの、じっくりとした味わいのある歌を聴かせてくれる。
「美しき水車小屋の娘」はヘフリガー63歳時の4度目の録音。信じられぬような瑞々しい声と情感が全曲に広がり、若い世代のテノールには到底歌い出せないような純粋な抒情の世界を作り上げている。
一時ダウンしかけた声が60歳になって見事復調し、以前にも増して美しいレガート唱法を獲得している。この歌への執念と愛情には脱帽せざるを得ない。
「白鳥の歌」は65歳という高齢での録音だが、信じられないほど瑞々しい声で、シューベルトの最晩年の深い抒情を、見事に表出している。
このくらいの年齢になると高音が不安定になり、音域を下げてうたう歌手もかなり多くいるのだが、ヘフリガーの場合は、シューベルトの書いたオリジナルどおりにうたっている。
「セレナード」の淡いロマンティシズムや、「アトラス」の彫りの深さなど、美しい声のなかにも、年輪の厚みの感じられる歌唱だ。
「別れ」の瑞々しさはどうだろう。ハンマーフリューゲルの素朴な味わいも、この名歌手の歌とよく似合っている。
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