2009年01月06日

グールドのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集


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一際ユニークな全集だ。

第1番は非常な名演で、第1楽章の速いテンポと小気味良いリズムは、天才的な即興の閃きを示す強弱や小味な弱音効果の多用とともに、あたかもモーツァルトのような自在感をもって自然に流動してゆく。

ゴルシュマンの指揮も生命力に満ちた素晴らしい演奏だ。

グールドは第2番を美しい音で、若き日のベートーヴェンの強気で、衝動的で、しばしば生意気でさえある持ち味を見事にとらえて弾いている。

バーンスタインもその線にそったサポートをして、始めから終わりまで味わい深く聴かせている。

第3番は遅いテンポで、じっくりと楽章の変化を描き出してゆくが、やや明確すぎる点がなくもない。

第4番はきわめて個性的な演奏で、演奏の外面だけをとると、19世紀末のロマン派に逆行したような錯覚を起こすほどだが、グールドの場合はむしろ自然に響いてくるから不思議だ。

「皇帝」も素晴らしく、猛烈に遅いテンポの演奏は、一瞬回転速度を間違えたかと錯覚させるが、その魅力にかけては人後に落ちない。

グールドのテンポは遅く、特に第1楽章冒頭のルバートや終楽章のテーマはユニークである。

左手を英雄的に鳴らして実に堂々たる迫力を聴かせる素晴らしさ! 細部までじっくりと心をこめぬき、音のひとつひとつをていねいに吟味し、展開部ではさらにテンポを落として浸る。

しかも全体の型は決して脆弱にならず、深々とした抒情とリズムの冴え、乾いた響きの音色は、最もアイロニカルな名演だろう。

この演奏に「皇帝」を聴こうとしたら何も得られない。

しかし、「作曲家の意図」からも固定イメージからも離れ、響いた音そのものに即して耳を働かせていくと、作品から徹底して響きの抒情を聴き取り"うた"の瞬間を掬い取ったこの演奏は、とてつもなく面白い。

ストコフスキーの指揮も見事で、これだけよく歌い、金管を壮麗に鳴らした「皇帝」も珍しい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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