2009年01月16日
ラサールSQのベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集
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20世紀の弦楽四重奏曲を透徹したスタイルで明晰に演奏して、一時期を画したラサール四重奏団が残した唯一のベートーヴェン。
ラサール四重奏団の演奏は、まさに完璧としか形容できないほど突き詰められた表現の中に、良い意味での冷たいリリシズムが溢れ出る名演といえる。
ラサール四重奏団はいっさいの先入観を排除して純粋に音楽を追求する。
これは彼らが新ヴィーン楽派の作品でとった解釈で、ベートーヴェン後期の音楽が少しの思い入れもなく明晰に再現されている。
機能的に優れたところから美感が生まれることを実証した演奏だ。
彼らが得意とした20世紀の作品と同様シャープで精緻な演奏ぶりが際立ち、楽譜の深い読みに基づく作品へのアプローチが巧妙で、説得力があり、20世紀音楽に優るとも劣らぬ出来である。
力感みなぎってたくましく、切れ味の鋭さを感じさせる。だが、うるおいの乏しい"技巧のための技巧"を前面に押し出した演奏とは似て非なるものだ。
ヨーロッパの四重奏団とは異なる感性に立脚しているものの、作曲家晩年の情念を感動的に表出している。
楽譜を深く読み、作品を忠実に再現していこうとするラサールのあくなき努力が見事に結実した、誠実にして、清新なベートーヴェンである。
チェロが途中で交代しているが、この録音をラサールの代表盤のひとつに加えることに反対する人はまずあるまい。
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