2009年01月26日
リヒターのバッハ:ミサ曲ロ短調(東京公演ライヴ)
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1969年5月9日、リヒターとミュンヘン・バッハ管弦楽団の来日公演のときのライヴ録音である。
あふれるようにみずみずしい演奏である。
リヒターには1961年のスタジオ録音もあり、それはきわめて峻厳な名演奏だった。
これはそのスタジオ録音ほどの芯の強さはあまり感じられないが、全篇にわたって、表情がゆたかであたたかな、人間愛にみちた音楽がつくられている。
このライヴにおけるリヒターの演奏は旧盤に聴かれる、魂を引き裂くような痛切な叫びはない。
構えのとれた、自在なバッハで、まるでリヒターの新しい面を発見したかのように感じられる。
演奏自体の密度の高さは旧盤に求められるだろうが、東京での緊張のひとときとしての、異常なまでの空間がひしひしと伝わってくる名演である。
その日本公演でまったく精力的にリハーサルと多くの本番をこなしたリヒターは、疑いなくこの時期が生涯の頂点だったといえる。
リヒターの張り詰めて峻厳な音楽作り、彼を信奉する合唱団員たち、与えられた機会に最上の歌唱や演奏で応えようと全力を尽くす独唱者たち、オーケストラの尋常ではない協調ぶりは強く心に残る。
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