2009年02月02日
フルニエ&セルのドヴォルザーク:チェロ協奏曲
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ヴィルトゥオーゾ的要素が目立ちやすい曲だけに、その部分を強調したような演奏も少なくないけれど、やはりそれだけでは繰り返してたのしむというわけにはいかない。
すぐにCDケースの奥でほこりをかぶってしまうことになるだろう。
この協奏曲の本質的魅力というのは、もっと深いものなのだ。
そのことは、セル指揮によるベルリン・フィルの伴奏を得たフルニエ盤を聴くとよくわかる。
ドヴォルザークのゆたかな抒情性が、協奏曲という形式のなかでのびやかに開花しており、間然としたところがない。
チェロ協奏曲の一方の雄たる所以だろう。
フルニエの木目細やかで、柔軟性のある語り口は説得力充分で、伴奏も筋金入りだ。
フルニエのチェロは、朗々と歌いながらも温かい気品に満ち、細部まで神経を使いながら弱々しくならない。技巧的にも素晴らしく、音楽美にあふれている。
セルの指揮は素朴な土俗感を基本としながら、絶対に踏み外すことがなく、歌と情熱と輝かしさを過不足なく表出していく。
フルニエは、いかにもフランス人らしい高貴でエレガントな芸風を持ち味にした得難いチェリストであったが、このアルバムはそうした彼の芸風を伝える最高の記録の一つといえる録音である。
セル指揮のベルリン・フィルをバックに得たドヴォルザークは、フルニエのまろやかで上品な表現とセルのあたたかくも引き締まった音楽づくりが見事な調和を実現させている演奏であり、この名作の数ある録音のなかでも最も上品で格調の高い名演になっている。
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