2009年02月04日
アルバン・ベルクSQのベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(旧盤)
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1978年から足掛け5年をかけて録音したアルバン・ベルク四重奏団の第1回目のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集で、現代におけるリファレンスともいうべき、模範的な名演として推薦しておきたい。
この団体は、1970年に、ウィーン音楽アカデミーの4人の教授たちによって結成された、比較的新しい四重奏団である。
アルバン・ベルクの未亡人から、正式にその名前をもらったという。
そうしたことからでもわかるように、この団体の演奏は、ウィーン風のきわめて洗練された表情をもち、しかも、高い技巧と、シャープな切り口で、現代的な表現を行っているのが特徴である。
アルバン・ベルク四重奏団の合奏はひとりひとりのテクニックが優れていると同時に、アンサンブルの緻密さが既製の楽団のどれをも凌駕している。
そして感覚的にも美感にあふれ、サウンドが洗練されていて、聴いていて実に美しく、また楽しい。
この全集では、作曲年代に応じて表現を変化させ、情感豊かにひきあげているが、音楽的に深く掘り下げた演奏となっているところがすばらしい。
全集全体がきわめて高水準で、ベートーヴェンの音楽が持つ独特の個性の明確な表出には、一期一会的な完成度の高さがあり、これを凌ぐ演奏はおそらく簡単には生まれないだろう。
全体にテンポはやや速めだが、決して軽薄に流れず、むしろメリハリが明確でくっきりとした輪郭を描く。
音楽が絶えず前へ前へと駆動する力にあふれているため、若々しい推進力や軽快な躍動にも欠けることがない。
各奏者の技術的、精神的な充実感も並々ならぬ高さにあり、アンサンブルの緊密度や柔軟性の高さはまさに驚異的というより他はない。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲というと、深遠で高級な音楽といわれ、押さえつけるようなゴリゴリした演奏を有難がる傾向もあるが、それは誤解というもので、音楽なのだからやはりまず美しくなければいけない。
そのことをアルバン・ベルク四重奏団は、改めて教えてくれるだろう。
深遠な楽想を楽しく聴かせるのが、演奏家の一番の役割と知るべきである。
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