2009年01月26日
バルビローリ/パリ管のドビュッシー:「夜想曲」「海」
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ドビュッシーにとって最初の本格的な管弦楽作品である「夜想曲」は、水彩画風の独特の響きの魅力を持っている。
この曲の演奏では、生々しい表現は一貫して慎まなければならず、そして、いわゆるドビュッシー的な〈曖昧さ〉を保ちながら、射し込む光のような鮮やかさを全体の中に溶かし込まなくてはならない。
それを実現するのは極めて困難なことだが、バルビローリが発足間もないパリ管と残した録音は、そのなかで、最も納得いく演奏だ。
「雲」では、この指揮者が弦楽合奏に見せるカンタービレの美しさという特質が所を得て、鮮やかで雄弁な表情が穏やかに暗示される。
「祭り」も、決して派手すぎず賑やかすぎず、遅めのテンポで落ち着いた雰囲気を確保して進む。
中間部の行進のところでは一音一音ゆっくりと聴かせて距離感を表現し、あくまでも目前に迫るものではなく遠い風景として、大きすぎる音が出ないように注意深く奏して「シレーヌ」へと繋いでいる。
個性的だが、作曲者のイメージしたものは、このようなものだったろうと思わせる説得力のある演奏だ。
交響詩「海」では、弦楽器群を前面に出して、スコアに書き込まれた旋律をよく歌わせた演奏。
異常に遅いテンポだが、それを支えるパリ管の音は、あくまでも甘くソフト。
色彩感に乏しい棒さばきが少々退屈なので、最初に聴く演奏ではないが、この曲の旋律に馴染んでから聴くと新たな発見がある。
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