2009年02月18日
リヒテルのベートーヴェン:ディアベッリの主題による33の変奏曲
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
バッハは、主題を次々と変容させ、鎖の環のようにして繋いでいき、巨大な「ゴールドベルク変奏曲」を作った。
規模、構想においてもこの変奏曲に匹敵するのは、「ディアベッリ変奏曲」しかあるまい。
バッハの曲は、最後に再び主題が登場し、円環が閉じられるが、ベートーヴェンの曲は、主題の変奏が次の変奏を創りだしながら、螺旋状に高みを目指しながら上昇してゆき、第32変奏でクライマックスを迎え、最後の変奏では、晴朗で、あたかも天上界に歩み出すかのごとくして、虚空に音楽が消えてゆくのである。
リヒテル盤は、例えば、ベートーヴェンがくそみそに言った冒頭の主題でさえ、こまかにアクセントを付けながら、これから始まる千変万花の世界を予感させ、聴く者を引きずり込まずにはおかない。
深く、拡がりを持ちどこまでも音が放射するかと思うと繊細、微妙に描きつくしながら凝縮し、収斂してゆく様は、たとえようがない。
「フゲッタ」では、静謐な世界に流れ出る敬虔な祈りの音楽、第32変奏では、対位法の綾を緊張感あふれながら、組み立てていき、壮大な大伽藍を築きあげている。
この長大な作品をリヒテルで聴くと、まるで"弾かれる劇"のごとき趣がある。
このような素晴らしい演奏が存在する幸運を思わざるを得ない。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。