2009年02月20日
ギレリスのリスト:ピアノ・ソナタ
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「まさに君そのもののように、信じられぬ程美しく、偉大でかつ愛らしく、深遠で高貴である」とこの曲についてワーグナーは、リストに宛てた手紙の中で述べた。
リストはこの曲をシューマンが「幻想曲」を自分に捧げてくれた返礼として、シューマンに献呈した。
単一楽章で書かれている幻想曲ふうのこのソナタは、5つのテーマが変容し、拡大し、複雑な構造を基盤とした巨大な建造物と言ったほうがふさわしい作品である。
ポリーニは、そのような構成を完璧な技巧によってあらわにしているが、例えば、楽譜に「グランディオーソ」と記されたところで、リストがロマン主義的情感を最大限に込めた主題(愛の主題と呼んでもよいだろう)の所になると、全体を形づくっている一つの素材といった印象しか与えず、情感に欠けているのである。
ギレリスの演奏は、逆巻く奔流、嵐のようでありながら、愛の主題では、美しい音色に支えられ、音楽が一瞬止まってしまうのではないかと思われるような弾き方で、息づまるような心の動きを伝えている。
リストの高邁な思考、ロマン主義的激情を、ギレリス盤ほど見事に表現した演奏もあるまい。
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