2009年03月01日
ブーレーズの「ル・マルトー・サン・メートル」
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作曲家が自作演奏に直接関与することが稀有となってしまった現代において、ブーレーズの存在は神々しくさえ思える。
彼の出世作と覚しき《ル・マルトー・サン・メートル》は、おそらく20世紀の傑作のひとつとして歴史に残る。
ブーレーズにとって《ル・マルトー・サン・メートル》は4度目の録音だが、さすがに演奏スタイルに変化がみられる。
今回の演奏は緊張感の鋭さがやや後退しているが、語り口はより柔軟になり、抒情的な深みと広がりを増し、滋味の深さで聴き手を引き込んでいく。
ブーレーズはかつての気負いがなくなり、メンバーも音楽を楽しみながら演奏しているのがよく分かる。
しかし大変な難曲。これを彼は彼の手兵たるヴィルトゥオーゾ集団を擁して、完璧に近い演奏を実践してみせる。
作品、演奏ともに人間の限界への挑戦であり、究極の世界を垣間見せられたような思いにかられる。
超人的なアンサンブルの巧緻さはいうまでもないが、それによる解析度の高さ、そして解釈の明解さなど、今後もこれを凌駕しうるのは彼自身しかあり得ないだろう。
これがライヴである凄さ!肝に銘じておきたい。
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