2009年03月02日
ノーマンのワーグナー:ヴェーゼンドンクの5つの詩、「トリスタンとイゾルデ」〜前奏曲/イゾルデの愛の死
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ノーマンの比較的初期の録音のひとつで、1976年の仏ディスク・リリーク大賞を受賞している。
ワーグナーの「ヴェーゼンドンクの5つの詩」と「トリスタンとイゾルデ」の「愛の死」を歌って、最もふさわしいソプラノといえば、往年のフラグスタートを別格とすれば、ノーマンをおいて他にいないだろう。
許されざる愛を背景に生まれた2つの名作を、ノーマンが感動的に歌っている。
ことに「ヴェーゼンドンクの5つの詩」は音にしたためられた愛の詩集というにふさわしいもので、この世のものとは思えない甘美な夢のひとときに聴き手を誘う魅力がある。
ノーマンが一つひとつの言葉に熱い想いを乗せながらも、抑制と高揚の微妙な振幅の中を泳ぐように演奏しており、聴き手を切実な感動に浸らせてくれる。
それは立派な演奏という以上に、無垢な魂のさすらいを思わせる孤独感をたたえており、一度でも耳にしたら永遠に脳裏に刻み込まれてしまう美しさがある。
同じく抑制しながらも、熱い情感でノーマンを包み込んだデイヴィスの指揮も魅力的だ。
「トリスタンとイゾルデ」の「愛の死」はイゾルデの静かな歌い出しから見事に声をコントロールして、情感に溺れることなく愛による浄化を大きなスケールで歌いあげている。
デイヴィスの指揮もオーケストラを美しく響かせ、気品に満ちた表現のうえに曲の内容をよく表出している。
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コメント一覧
1. Posted by Goodweather 2009年03月03日 19:56

このdiscを取り上げて頂きまして誠に恐悦至極に存じ上げ奉りまするm(__)m私はジェシー・ノーマンの大大大ファンで、アマチュアでありながらも遅れて声楽の勉強を始めてからノーマンの歌に出逢い、絶対にドイツ歌曲とワーグナーを歌うと心に決め、パリ・シャトレ座プロジェクトのモノ・オペラ、シューンベルク&プーランクでノーマンが来日した時には雨の中東京文化会館で1時間出待ちしてノーマンに2度握手して貰い、その後気管支炎から腸閉塞を起こしかけて入院してから、ただただワーグナーを歌う事を目指しております。特に日本人には不可能と言われているワーグナーを歌いたくて、一度は【ヴェーゼンドンクの5つの歌】のレッスンを受けた事はありましたが、見事に返り討ち&玉砕となりました。
ノーマンは余り日本人好みでは無いらしく、オペラに詳しい人でも関心を示してくれる人がいません。このブログを読んで元気が出ました!!!私もノーマン目指して頑張りま〜す♪ありがとうございました。
2. Posted by 和田 2009年03月03日 20:04
現代では、痩せた肉体だけでなく、痩せた声も好まれています。巨大な声の威力に征服されるよりも、細くて小回りのきく声を味わう方が、オペラを総合的な舞台芸術として楽しむのにふさわしいと思われるようになっているわけです。
ところが、ほっそりした身体とほっそりした声の全盛を、一撃で打ち砕く歌手が現れました。ジェシー・ノーマンです。
ノーマンの声は巨大で、そのかわりに鈍いのではなくて、むしろ意外に引き締まっているのだけれど、聴く者を、そして会場全体を包み込むほどの豊かさを持っています。
高い声の艶が格別なのですが、それを支える中域・低域が、大地のように安定しています。
この声の威力だけでも大したものなのだけれど、こまやかな表現力で、どんな痩せた歌手の歌をもしのぎます。このあたりは、ただ昔の豊満な歌手の復活というわけじゃなさそうです。
ところが、ほっそりした身体とほっそりした声の全盛を、一撃で打ち砕く歌手が現れました。ジェシー・ノーマンです。
ノーマンの声は巨大で、そのかわりに鈍いのではなくて、むしろ意外に引き締まっているのだけれど、聴く者を、そして会場全体を包み込むほどの豊かさを持っています。
高い声の艶が格別なのですが、それを支える中域・低域が、大地のように安定しています。
この声の威力だけでも大したものなのだけれど、こまやかな表現力で、どんな痩せた歌手の歌をもしのぎます。このあたりは、ただ昔の豊満な歌手の復活というわけじゃなさそうです。