2009年03月16日
ザンデルリンク&ベルリン響のショスタコーヴィチ:交響曲選集
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ザンデルリンクのショスタコーヴィチには一種特有の抒情感がある。
それはドイツ的とも形容したい濃厚な陰影にみたされており、様式的には堅固で緊張力が強い。
ロシアの演奏にあるようなスケールの大きさはないが、それに代わる端正な魅力をもった演奏ともいえる。
東ベルリンの交響楽団がこのように整ったアンサンブルを聴かせるのもザンデルリンクの手腕といえるだろう。
第1番はドイツ的堅実さというか、各楽器のディティールまで確実に処理され、はつらつとした生命力を感じさせる。
第8番は冒頭から驚くほどの緊張感をもった表現である。合奏の精度も非常に高く、このオーケストラの最盛期の状態を示しているといえる。
ザンデルリンクは、スコアを精確に音にしながら、そこにロシア的な暗い情緒をよく表現している。
しかもドイツ人らしく、構成力が強く、後半の連続する3つの楽章は堅固そのもの。
そのため、ロシアの演奏家によるものや、他の西欧のオーケストラの演奏などとはかなり異なった趣がある。
第10番は最近演奏される機会が増え、カラヤンは2度も録音している。しかしこのザンデルリンク盤を聴くと、このように精巧に書かれた楽譜の再現にも、驚くほどの民族性が反映することがよくわかる。
この演奏は、他のどれよりも重厚・堅固で、そしてブラームスのような深く沈んだ響きがする。ショスタコーヴィチがまるでドイツの作曲者であるかのようにきこえるのだ。
管と弦もしっとり溶け合い、全曲の造形も見事。
ザンデルリンクがほとんど真面目一徹に構えた第15番の演奏は、この曲のもつ寂寥感をいっそう強め、さらに一歩進めて音楽そのものへの冷ややかな観念を物語っているように思われる。
オーケストラもまた一分の隙も油断もない室内楽のようなアンサンブルで曲を見つめている。
この曲を論じるためには1度は聴くべき演奏といってよいだろう。
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