2008年02月23日

リヒテルのバッハ:平均律クラヴィーア曲集


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オリジナル楽器による演奏が顕著になってきた20世紀末にあっても、1世紀前のブゾーニ以来変わらず、依然としてピアノで弾く《平均律》の演奏は好まれている。

それがこの曲集の持つ底なしの可能性の一面をのぞかせている。

同じく現代ピアノによるグールドやシフ、ニコラーエワといった名演もあるが、リヒテルのものは全編を徹底したロマン的詩情で貫いており、20世紀最後の巨匠的ピアニストの偉業としても残るものだろう。

ソフト・フォーカス的な録音によって掻き消されてしまう声部の明確な分離も、この圧倒的な詩情の前では些事としか映らない。

バッハが前奏曲とフーガという組み合わせの中に実に多様な表現と感情移入を可能としていたことを、リヒテルは明らかにしている。

それだからこそ、その作品は芸術として大きい。

ここでのリヒテルを、抒情的に流れすぎていると思う向きもあろう。

だが、そのために無味乾燥を避け、聴き手の心に長く残る演奏芸術となった。

リヒテルが生命体とした「平均律」から私達はすばらしい音楽体験が味わえる。

それは20世紀後半に好まれたバッハ演奏の、ひとつの典型を示していると言えよう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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