2009年04月20日
セル/コンダクツ・ハイドン
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この清澄な響きとすみずみまで彫琢され尽くした音楽美は他に比べるものがない。
そのはつらつとした歯切れの良いリズム処理は独自のもので、響きの透明度の高さ、デュナーミクの効果も見事というほかない。
セルの音楽性の根底がここにあるといえるほどだ。
ランドン版等を用いた最近の演奏とは異なるが、ハイドンの古典的な真髄をよく味わうことができる。
ここにおける指揮者セルとクリーヴランド管弦楽団は、一方では通俗性に流されぬように慎重にふるまいながらも、全体としては神経質になることなく、堂々とした対処の仕方で自分たちの音楽をつくりあげている。
どの交響曲も各楽章を通してのバランスはよく整い、危うさなど見つけようとしても見つからない。
それぞれの表情は充分に練り上げられており、強い存在感を示すものばかり。
洗練されたきりりとした感覚で、全体を隙なく仕上げていく手腕は実に鮮やかである。
ハイドンの交響曲がもつ古典的様式観とでもいうべきものが、水ももらさぬ鉄壁さで具現化された演奏内容であろう。
セルの指揮は、彼の求める音、バランスなどの表現が、ハイドンの交響曲の場合に最も的確に実行できる。
アレグロとアレグロ・モデラートとのテンポの相違をセルほど明確にハイドンの表現に表した指揮者はきわめて稀である。
おそるべき正確な演奏で、20世紀の指揮法の最も高い展示でもある。
セルとクリーヴランド管弦楽団の到達点の高さが、改めてよく納得できる。
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