2009年04月22日

アシュケナージのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集


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1971年から80年にかけて、つまりアシュケナージが34歳から43歳にかけて録音したこの全集は、見事な彫琢が際立っていて、ベートーヴェンのこれらの作品の魅力を存分に表出している。

アシュケナージが1980年に全32曲をまとめ上げた頃はまだベートーヴェンのソナタと言えば、バックハウスやケンプ、アラウといった巨匠の時代であった。

しかし、彼らの演奏は、それぞれ個性豊かではあっても、シュナーベル以来のドイツ精神主義がその底流にあった。

しかし、ベートーヴェンの音楽の本質が構造と主題法にあることを最も明確に浮き彫りにしたアシュケナージの演奏は、ベートーヴェン・ソナタの解釈と演奏の歴史に一線を画すものであった。

ピアノを最もピアノらしく響かせ、実に鮮やかに仕上げられており、耳に快く響く。

ともすれば、堅苦しくなりがちなこうした作品を、実にみずみずしく、しかも、うるおいのある表情で弾きあげているところなど、アシュケナージのなみなみならぬ天分がうかがえる。

アシュケナージはこれらの作品を忠実に再現し、ベートーヴェンらしいファンタジーと、構成感を大切にしたオーソドックスな表現を成し遂げている。

テクニックはどこまでも男性的で逞しく、骨太のベートーヴェンである。

またロマン的な感情にも不足せず、全体を大きな流れの中に捉える、スケールの大きさも窺える。

円熟味を増し、深奥まで共感できたアシュケナージの芸術が、ここに見事に開花したといっていいだろう。

アシュケナージはその後指揮活動を優先してゆくが、そうした感性と知性がベートーヴェンの音楽の本質を見抜き、全32曲のソナタにある様式転換の特徴をも見事に捉えて、スケールの大きな音楽に仕立てている。

32曲のソナタに加え、もともと「ワルトシュタイン」の第2楽章として書かれた「アンダンテ・ファヴォリ」も収録しているのも心憎い。

これは、基本的ライブラリーに最もふさわしい名演といえよう。

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classicalmusic at 04:44コメント(0)ベートーヴェン | アシュケナージ 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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