2009年04月23日
カザルスのベートーヴェン:交響曲第7番&第8番
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パブロ・カザルスが1969年と63年にライヴ録音したこの1枚は、人間の精神の営みの逞しさと美しさの偉大な証明となっている。
当時90歳前後であったカザルス翁の生み出す音楽は、どんな指揮者よりも若々しく、峻烈なベートーヴェンだ。
カザルスは強靭な精神力で、ベートーヴェンの英雄的な偉大さと古典主義的厳しさを表している。
それが何ひとつ不自然さを感じさせないのは、カザルスと作品の間に通じるものが多いためだろう。
あらゆる声部に対し、カザルスは豊かな表情と息遣いを与えつつ、しかもそれを一気呵成にまとめ上げる事によって、この稀有な名演が誕生したのである。
新解釈と呼ばれるような奇抜さなどは微塵もない。カザルスのアプローチは至極オーソドックスである。
しかしその中に漲る生命力は、全く余人をもって代え難いものとなっている。
マールボロ音楽祭管が寄せ集めのオーケストラで粗いのが残念だが、ここには音楽アプローチの原点がある。
特に第7番はカザルスの指揮した一連の録音の中でも優れた演奏といえる。
第8番は、この小さく古典的な曲の内部にあるエネルギーを見事に表現しており、娯楽性とはほど遠い壮烈な音楽だ。
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