2009年05月05日
ワーグナー:ニーベルングの指環入門(セルのハイライト盤)
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「指環」の聴き方であるが、最初から全曲を聴いたのではわけがわからない。
ワーグナーは舞台をみずに音楽だけ聴いても情景がわかるよう、100種ものライト・モティーフ(動機)を作り、それを全曲にちりばめた。
たとえば〈ジークフリートの動機〉〈眠りの動機〉〈不機嫌の動機〉〈呪いの動機〉〈死の動機〉〈愛の決心の動機〉などである。
これらの全部でなくてもよいから、せめて30でも40でも暗記すれば、知っている動機が出てくるたびに懐かしく、たのしく、筋がよくわかる。
動機をおぼえるのは「指環」のハイライト盤を聴くにかぎる。セル指揮クリーヴランド管弦楽団がベストだ。
聴きどころ全6曲が舞台の進行順にオーケストラだけで演奏されており、これを耳にタコができるくらい聴きまくるとよい。
セルのワーグナーは、ドイツの指揮者たちと違って、ドイツ・ロマン主義の伝統や因習などワーグナー演奏につきものの、一切の虚飾や無駄を排し、曲の核心に真っ向から鋭い刃物で切り込んでいくものである。
1968年、セルの晩年の録音なので、老熟した芸風がよくあらわれており、フルトヴェングラーやクレンペラーのようなドイツ的な演奏とは対照的に、現代風に明快に表現している。
ドイツ風のワーグナーに慣れた耳には異質に聴こえるかもしれないが、これはこれで現代のひとつの解釈として受容できる。
これらの中では、堂々とした表現の「ジークフリートの葬送行進曲」やセルのリズム感覚の素晴らしさが示されたスケールの大きい「ワルキューレの騎行」が特に見事だ。
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