2009年05月18日
セラフィンの「トロヴァトーレ」
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こと、《トロヴァトーレ》に関しては、セラフィン盤をぬきにしては考えられない。
何よりも指揮の素晴らしさに圧倒され、聴けば聴くほどに味わいを増す名演である。
ステッラ、コッソット、ベルゴンツィ、バスティアニーニの4人によるものは、戦後のイタリア・オペラ界が《トロヴァトーレ》のために組めた最強のキャストであった。
このセラフィン盤ほど4人の主役の声のバランスが見事な演奏もない。
これに匹敵するのは、ほぼ同時期に録音されたトゥッチ、シミオナート、コレッリ、メリルによるシッパース盤だが、惜しむらくは指揮がいささか単調すぎる。
それに対し前記4人のキャストを揃えたセラフィン盤は、作品のスタイルと性格を明快に表現する指揮に加えて、スカラ座のオーケストラと合唱団も素晴らしく、このオペラの魅力を満喫することができる。
特にコッソットのアズチェーナ、バスティアニーニのルーナ伯爵は最高であり、殊に後者の存在感は、他に比肩できる者なしの名唱。
《トロヴァトーレ》をつらぬく激情が、この時代のオペラならではのスタイルを明らかにしつつ、炎と化している。
これほど何度聴いても魅了される名演もそう多くはないが、これがまだ国内盤CD未発売とは!
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