2009年05月19日
内田光子のショパン:ピアノソナタ第2番&第3番
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内田光子がこの2曲をきわめて集中度の高い演奏で、素晴らしい録音を残している。
モーツァルトのピアノ・ソナタや協奏曲に取り組んでいた内田が、新たにショパンに取り組んだ最初の録音である。
内田はモーツァルトの演奏で世界的な定評をもつが、ショパンでも非凡な名手であるのが確認された。
ロマンティックな情緒は充分だが、ムードに流されない意志の強さがあり、ソナタとしての構成感をはっきりと打ち出しているのは、彼女が並のピアニストでない証拠である。
実に入念にひきこんだ演奏で、その落ち着きと、楽譜の読みの深さには心をひかれる。
音色的にも洗練を極め、和音においても決して汚い音を発しない。そして様式的な描き分けも充分で、きわめて知的な解析を得たショパンである。
内田はモーツァルト演奏でも示したように、独自の新鮮なショパン解釈をはっきりと提示している。
作品、あるいは楽章をまとめて全体としてのドラマを作るというより、それぞれの箇所に秘められた音楽的情報を綿密に解明していくという基本的な方法論は、このショパンでも明らかである。
これは、いわば伝統的ショパンにおいてつきまとう、一種のムードとでもいうべきものを払拭し、的確に今日の眼と耳でとらえたショパンだ。
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