2009年05月20日
バックハウス/モーツァルトリサイタル(スタジオ録音)
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1956年のモーツァルト生誕200年を記念して録音されたものである。
バックハウス晩年の枯れた芸の極致とでもいえるような内容の深さをもった演奏で、モーツァルトの音楽としてはやや重厚にすぎるが、聴き込めば聴き込むほどに味の出てくる名演だ。
ここにはバックハウスの巨匠的な人間性がまざまざと表れている。
モーツァルトの音楽に秘められていたベートーヴェン的な意志力と、ソナタ形式に対する驚くべき可能性への予見が格調高く示されている。
みずみずしい美しさをたたえた音とまろやかで厚みのある響きは、ピアノという楽器を知りつくした名手にして初めて弾き出せる質の音質だ。
バックハウスのモーツァルトも内田光子同様、決して享楽的な気分で聴ける演奏ではないが、晩年を迎えた巨匠がまるで童子に返ったように、無心の境地で音楽と戯れる風情は、なんともいえず感動的である。
「鍵盤の獅子王」と呼ばれたバックハウスが、一切の我欲を捨て去り、ただひたすらモーツァルトと戯れたこの演奏は、彼を知る者にとってはかけがえのない遺産になるだろう。
特にK.332とK.330が傑出した演奏。
録音はさすがに古くなったが、純正のステレオ録音であり、CD化によってずいぶん音が若返っている。
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