2009年05月27日
フリッチャイのチャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
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フリッチャイが、日々肉体を蝕む白血病と闘いながら録音したのが、この「悲愴」である。
初リリースされたのは、録音から37年後の1996年。第1楽章の一部の再録音を望みつつ逝ってしまったため、お蔵入りになっていたからである。
1996年4月、本CDが初出されたときには少なからぬ衝撃を受けた。こんな凄い名演が指揮者の許可を得られないまま、37年間もオクラになっていたというのだから……。
こじつけではなく、まさに命の炎を燃やしながらの凄演だ。
個性的には違いないのだが、個性的というにはあまりにも曲と一体化していて、とにかく《悲愴》という音楽が最も雄弁に、劇的に、抒情的に、内容的に、かつ音楽的、芸術的に語りかけてくるのだ。
リパッティのラスト・コンサート同様、真正面から真剣に向き合いたい。
第1楽章は、まるで病魔に肉体と魂がおかされていくような音が恐ろしいが、それに敢然と立ち向かう崇高な生き方にこそ心動かされる。
第2楽章は、美しかった生への回顧であり、叶わぬ夢である。
第3楽章は、人生は所詮一場の夢に過ぎないという諦観から生まれた音の祭りだ。
そして、第4楽章こそは、まさに告別の歌だ。生きることへの執念、魂の慟哭が、途轍もない音響体となって、聴く者に襲いかかる。
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